■水神の妻■

伝説は言う。

その人、水神の妻になりてより

その国に水害・干害の起こること無しと。

子供のころに聞いた「蛇池伝説」を、私なりにアレンジして作りました。

蛇池伝説は、日照りに困った村人が蛇池の主に雨乞いを頼むと、

主の出した交換条件が、長の娘を自分の嫁にすることだった、みたいな内容です。

普通に読めば、人柱とか生贄とか、そう言う話になるんでしょうけど

私は子供心に、嫁入り道具の鏡を抱いて池に向かう娘は

そんな、不幸こうな感じがしなかったのです。むしろ、望んで行った様な。

彼女は、生贄ではなく、巫女だったのかも、と言うのが今の私の解釈で

巫女たる娘は、当然、主=神の妻になる運命を受け入れていたのだろう、と。